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特別インタビュー「教師のやりがいとは何か」手島純先生 天野一哉先生(前半)
特別インタビュー「教師のやりがいとは何か」手島純先生 天野一哉先生(前半)
本書は本年度より、教職科目「教職概論」の教科書に指定されています。
この本の完成に至った経緯と、タイトルに込めた思いを、お二人の先生にお話を伺いました。
「教師ってまんざらでもないよ」ということを伝えていきたい
教師のやりがいが世間に伝わっていない!?
(手島)
最初は『教育の探究』というタイトルをつけていました。
原稿作成が進んでいく中で、各執筆者の皆さんと座談会をおこないました。
話を聞いていた編集者が、
「みなさん、ずっとやりがいについて話している」
と言ったんです。
そういえば、教師のやりがいについての議論は少ないかもしれないと気づいたのです。
そんなところから、やりがい論にしようということで、既に書いていた一部を書き換えて、やりがい論を中心に据えました。
ある大学の教育学の授業で1時間だけ話をした時のことです。
みなさん、「教育学」の授業は履修しているけど、教師に対してマイナスイメージがあり、
教師希望は受講者120名のうち数名でした。
そこで、公立学校の教員の給料について話してみたんです。公立学校教員は公務員ですので給料はそう悪くありません。ただし、私立はいろいろです。教員の給与が安いといわれるのは、労働時間が長いので時間あたりの給与が安いということです。
みなさんとても興味をもって話を聞いてくれました。
授業後の感想に「教師にはやりがいがあるって、初めて気づいた」というものがありました。驚きましたね。教師のやりがいが、世間では知られていないのかもしれないと思ったのです。
教師という仕事に関するネガティブな言葉だけが浮遊し、拡散しています。
この仕事に素晴らしい面があることが、伝わっていないのではないかと思いました。
教師のやりがいとは
教師のやりがいは、自分たちがそれぞれに見つけていくものです。
人の人生を左右するような仕事でもあります。例えば、生徒の話を聞くということだけで、生徒の人生に関与することもあります。忙しく、給料が安いという印象が先行していますが、このイメージを覆し教師の魅力を伝えたいと思いました。
文部科学省の「#教師のバトン」プロジェクトが炎上したという出来事がありましたが、
教師の置かれた状況を棚に上げて、いいことしか言おうとしなかったので炎上したのです。
『教員の「やりがい」とは何か』の中では、教師のやりがいを阻害するものについてしっかり書いています。
教育行政や教師バッシングが、やりがいを持てない仕組みを作っていることについて論じました。
さらに、教師の仕事が魅力的になる観点で、提案もしています。
ぜひ、教師になりたいと思う人はもちろん、今は教師という選択肢はないが、「やりがい」のある仕事を探したいと思う人にも、この本を手に取ってもらえたら嬉しいです。
(後半へつづく)
話者プロフィール:手島純(てしま じゅん)
星槎大学特任教授。公立高校社会科教員として、通信制高校・定時制高校・全日制高校で35年間勤務する。その後、大学兼任講師を歴任し、2017年4月から星槎大学で教職関連科目や社会科系科目を担当、教員養成に携わる。著書に『これが通信制高校だ』(北斗出版)、『格差社会にゆれる定時制高校』(彩流社)、『高校教師が語る 16歳からの哲学』(2014年、彩流社)等、編著書に『通信制高校のすべて』(彩流社)、「社会科・地歴科・公民科指導法」(星槎大学出版会)等がある。日本通信教育学会(理事)等に所属。
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