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インクルーシブ教育は二刀流?
MLBでも大谷選手が、メジャーリーグでも二刀流で大活躍しています。ケガが心配ですが、投手でも、打者でも両方大活躍しました。日本人だけではなく、世界の人たちもその活躍を応援しました。
さて、学校教育現場では、令和の日本型学校教育においても、特別支援教育やインクルーシブ教育の充実が謳われています。では、特別支援教育とインクルーシブ教育は何が違うのでしょうか?
特別支援教育とは?インクルーシブ教育とは?
特別支援教育は、障害のある幼児・児童・生徒の教育的ニーズに応じた教育を目指すのに対して、インクルーシブ教育は、障害の有無に関わらず、一人ひとりの教育的ニーズに応じた教育制度の改革のことを意味します。障害がある子どもを対象に限定してしまうと、保護者や本人がまず障害を理解し、障害を認めることが要求されてしまう危険性があります。
一方、インクルーシブ教育の教育的ニーズは、障害の有無にかかわらず、誰にでもそれぞれ教育的ニーズがあると考え、そのニーズを満たす、教育の多様性、多様な学びの場を用意していくことを目指しています。
つまり、インクルーシブ教育においては、特別支援教育の専門家だけではなく、すべての教員が、障害に関する知識だけではなく、子どもたちの発達や、虐待問題、経済格差問題、不登校問題、外国をルーツにしたニーズ、学力など、多様なニーズに関して知識と関心をもつことも重要になっていきます。インクルージョンは、簡単にたどり着けるものではないのですが、われわれが進むべき路と考えられます。
投手と打者を二刀流することはとても難しいことですが、左翼手と右翼手を担当する外野手は二刀流とは言われません。インクルーシブ教育は、通常教育と特別支援教育の二刀流ではありません。インクルーシブ教育の一刀流です。教育では、横の連携だけではなく、過去から未来への縦のヴィジョンといった広い視野が必要になると思います。それらを私たちは一緒に目指したいと思っています。
文

星槎大学副学長
西永 堅(にしなが けん)
専門分野:臨床心理学、特別支援教育、インクルージョン
担当科目:星槎学、発達障害教育総論、発達障害の判定とその教育的対応Ⅰ・Ⅱ、知的障害教育指導法
プロフィール・研究業績等