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英語が聞き取れないのはなぜ?「知ってる単語なのに」を解く3つの音の変化【体験授業】
授業レポート
先日開催した星槎大学・大学院のオープンキャンパスでは、第2部で実際の授業を体験していただく時間を設けました。
「英語の教員免許を通信制で取りたい。でも、オンラインの授業って実際どんな感じなんだろう?」——資料やパンフレットでは、授業の雰囲気まではなかなか伝わりません。
本記事は、当日の体験授業の様子をお伝えする授業レポートです。テーマは「『聞こえた!』が増える英語耳づくり ―― 一音の変化を見つけて、英語を聞き解こう」。担当したのは、グローカル・コミュニケーション専攻の本純佳助教です。
扱うのは、「知っているはずの単語なのに、なぜか聞き取れない」という誰もが経験するあの現象。その正体を、英語の音の仕組みから解き明かしていきます。
英語の教員免許を目指す方はもちろん、塾で英語を教えている方、英語に関わる仕事に興味がある方にも、そのまま使える内容です。読み進めながら、「通信制で学ぶとこんな授業を受けるのか」というイメージを持っていただけたら嬉しいです。
目次
監修

星槎大学 共生科学部 助教
本 純佳(モト アヤカ)
担当:グローカル・コミュニケーション専攻/英語に関わる科目
専門分野:英語教育、フォニックス指導、読み書きに困難のある学習者への支援
プロフィール・研究業績等
※本記事は、2026年に開催した星槎大学・大学院オープンキャンパス 第2部の体験授業の内容をもとに再構成したものです。
1. 知っている単語なのに聞き取れない——その理由
授業は、こんな問いかけから始まりました。
「皆さん、経験の中で『知っている単語なのに、なんだか聞き取れない』、そういった経験はあったりしますかね」
海外ドラマや動画を見ていて、「今なんて言ったんだろう?」と引っかかった経験。字幕を見たら、知っている単語ばかりだった——。心当たりのある方は多いのではないでしょうか。
では、なぜ聞き取れないのか。本助教は、背景にある要因を4つ挙げました。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| ① 語彙 | そもそも単語を知らなければ、聞き取ることは難しい |
| ② 文法 | 文の構造がつかめないと、音を意味に結びつけられない |
| ③ 不安 | 「聞き取れるだろうか」という不安そのものが聞き取りに影響することが、先行研究で分かっている |
| ④ 音声変化 | 自然な会話のなかで、音そのものが変わってしまう ← 今回のテーマ |
注目していただきたいのは③です。「不安」という心理的な要素が、実際の聞き取りに影響する。これは精神論ではなく、研究で示されていることです。
だからこそ、④の音声変化を「仕組み」として理解しておく価値があります。原理が分かれば、「聞き取れないのは自分の耳が悪いからだ」という不安が減るからです。
2. 音が変わるのは「省エネ」のため
そもそも、なぜ音は変わってしまうのでしょうか。理由は2つあります。
| 理由 | 説明 |
|---|---|
| 省エネ | 単純に、そのほうが話しやすいから |
| リズム | 英語は強弱のリズムを持つ言語。重要な語を目立たせ、そうでない語を弱く読むことで英語らしいリズムが生まれる |
そして、これは英語だけの現象ではありません。
「日本語でも実は同じような現象があって、たとえば書く時は『すいぞくかん』と書くのに、読んだら『すいぞっかん』という風に、小さい『っ』になったりもしますよね」
「水族館」を、私たちは無意識に「すいぞっかん」と発音している。音声変化は、日本語話者である私たちも毎日やっていることなのです。英語話者が特別に手を抜いているわけではありません。
この音声変化のうち、単語と単語がつながることで起こるものを「コネクテッドスピーチ(connected speech/連結発音)」と呼びます。定義はシンプルで、「音を滑らかにつなげること」。
これには、大きく分けて3種類あります。
| 種類 | 何が起こるか |
|---|---|
| ① 連結 | 音と音がつながる |
| ② 同化 | つながることでまったく違う音に変わる |
| ③ 脱落・弱化 | 音がまるごと消える、または弱くなる |
ひとつずつ見ていきましょう。
先に用語をひとつだけ
母音=「ア・イ・ウ・エ・オ」に近い音。子音=それ以外のすべての音。
この2つの区別だけ押さえておけば、これから出てくるルールはすべて理解できます。
3. コネクテッドスピーチ① 連結——音がつながる
もっとも身近なのが連結です。主に「子音 + 母音」、または「母音 + 母音」で起こります。
子音 + 母音 → そのままつながる
| つづり | 実際の音 | 仕組み |
|---|---|---|
| an apple | アナポー | an の n(子音) + apple の a(母音) がつながる |
「アン・アップル」ではなく「アナポー」。ローマ字読みしたときと同じ感覚でつながる、と考えると分かりやすいでしょう。
母音 + 母音 → 「つなぎの音」が入る
少しトリッキーなのがこちらです。母音と母音が続くと、間に小さな「つなぎの音」が生まれます。
| つづり | 実際の音 | 仕組み |
|---|---|---|
| try again | トライヤゲイン | 「イ」の音のあとに母音 → y(イェ)でつなぐ |
| few ideas | フューワイディアズ | 「ウ」の音のあとに母音 → w(ウ)でつなぐ |
ただし、このつなぎの音は強く発音されるものではありません。「そこにうっすら音がある」程度に捉えてください。知っているだけで、音の切れ目を見誤らなくなります。
4. コネクテッドスピーチ② 同化——違う音に変わる
同化は、つながった結果として元の音とは別の、新しい音が生まれる現象です。
有名な例:did you
| つづり | 実際の音 | 仕組み |
|---|---|---|
| did you | ディヂュー | d から y へ口を動かすのが大変 → 「ヂ」という新しい音を使ってしまう |
「ディド・ユー」とは言わない。ここでも理由は省エネです。言いにくいから、言いやすい別の音に置き換わる。
単語の中でも起こる:waiting
同化は、単語の中でも起こります。ここで「有声音」という言葉が出てきます。
有声音と無声音の見分け方
喉に手を当てて発音してみてください。震える音が「有声音」、震えない音が「無声音」です。
この方法は、そのまま授業でも使えます。
| つづり | 実際の音 | 仕組み |
|---|---|---|
| waiting | ウェイリン | 有声音に挟まれた t が、柔らかい d(日本語の「ラ」に近い音)に変わる。これをフラップと呼ぶ |
「ウェイティング」と教わったはずの単語が、実際には「ウェイリン」に聞こえる。その正体がこれです。
ちなみに、d の音にも「硬いd」と「柔らかいd」があります。同じ文字でも、位置によって音の質が変わる——これを知っておくだけで、聞こえ方の解像度が上がります。
5. コネクテッドスピーチ③ 脱落・弱化——音が消える
3つ目は脱落です。音がまるごと落ちたり、弱くなったり(=弱化)します。
起こるのは主に子音と子音が連続するとき。そして重要な原則があります。
子音が続くと、原則として「前の音」が弱くなる・消える
| つづり | 実際の音 | 仕組み |
|---|---|---|
| went to | ウェン(トゥ) | t と t が連続。前の t を口の中で止めたまま解放せず、次の音で出す |
| must be | マスビー | s・t・b と子音が3つ連続。さすがに多すぎるので真ん中の t が脱落する |
「彼女は厳しいに違いない(She must be strict.)」は、実際には「マスビー」と聞こえます。t は発音されていません。
※ t をはっきり出す話者もいます。あくまで「そういう傾向が強い」という理解が正確です。
発展:2段階で変化することもある
脱落と連結が連続して起こるケースもあります。少し難しいので、「こういうこともある」程度で構いません。
| つづり | 2段階の変化 |
|---|---|
| 〜percent of | STEP1 -nt で終わるので t が脱落 STEP2 残った n(子音) と of の o(母音) が連結 → 「パーセノブ」のような音になる |
もちろん、t を残して「パーセントブ」とつなげる言い方も正しい発音です。本助教はこう補足しています。
「私たち英語学習者にとっては、言いやすいほうでもちろんいいと思いますので、『あ、そういう言い方があるんだ』ぐらいで理解いただければと思っております」
ここが、この授業の姿勢がよく表れている部分です。ネイティブのように話すことがゴールではない。まず「聞き解ける」ようになることが目的なのです。
6. 実践:たった4往復の会話に、10か所の音声変化
ここからが授業のクライマックスです。実際の対話を聞いて、学んだ3つの変化を探します。
使われたのは、次のような短い会話でした。
A:Those cookies look amazing. Can I try one?
B:Of course.
A:This is so good.
B:I’m glad you like it. Want another one?
「あのクッキー、おいしそう。ひとつ食べてもいい?」「もちろん」「すごくおいしい」「気に入ってくれてよかった。もうひとつどう?」
使われている単語は、どれも中学校で習うものばかりです。それなのに、音声で聞くと難しい。理由は——
「この短い対話で、10か所も音声変化が行われていたんですね」
ひとつずつ見ていきましょう。
| 箇所 | 種類 | 何が起きているか |
|---|---|---|
| those cookies | 脱落・弱化 | those は綴りは e で終わるが音は「ズ」=子音。次の c も子音 → 前の「ズ」が弱くなる |
| cookies look | 脱落・弱化 | 「ズ」+「ル」で子音が連続 → 前の「ズ」が弱くなる |
| look amazing | 連結 | k(子音)+ a(母音)→ 「ルッカメイジング」 |
| Can I | 連結 | n(子音)+ I(母音)→ 「キャナイ」 |
| Of course | 同化 | of の v は有声音、course の c は無声音。有声→無声は口が忙しいので、v が無声の f に変わる(詳細は下記) |
| This is | 連結 | s(子音)+ i(母音)→ 「ディスィズ」 |
| is so | 脱落・弱化 | 「ズ」+「ソ」で子音が連続 → 前の「ズ」が弱くなり、後ろへ流れる |
| I’m glad | 弱化 | m(子音)+ g(子音)→ 「ム」をしっかり発音せず、次へつなぐ |
| glad you | 同化 | did you と同じ。d + y →「グラヂュー」 |
| like it | 連結 | k(子音)+ i(母音)→ 「ライキッ」 |
| Want another | 脱落 → 連結 | -nt の t が脱落 → 残った n と another の a が連結 → 「ワナナザー」 |
「Of course」がなぜ「オフコース」なのか
この対話のなかで、もっとも「言われてみれば!」となるのがここです。
中学校では「オフコース」と当然のように習います。しかし、よく考えてみてください。of は単体では「オブ」と読むはずです。なぜ「オフ」になるのでしょうか。
「course の c は無声音、of の v は有声音なんです。有声音から無声音に行くと、ちょっと口が忙しい。ということで、『ブ』なんだけれども『フ』の音に変わっている。ポイントをお伝えすると、「オブ」の口の形と「オフ」の口の形は、まったく同じなんですね。振動するかしないかの違いだけなので、だったら口の形が同じなら省エネで無声音にしちゃおうよ、というのが of course の音声変化です」
口の形は変えず、喉の振動だけを止める。それだけで「オブ」が「オフ」になる。丸暗記していた「オフコース」に、ちゃんと理由があったわけです。
7. この授業は、どの科目で学べるのか
ここまでが、体験授業の内容です。約20分で、英語の音声変化の全体像がひととおり入ったのではないでしょうか。
本助教は、授業をこう締めくくりました。
「『ちょっと何言ってるんだろう、難しいな』というのは当然なんですけれども、こういうのを1つ1つ解けていくと、「あ、そうだったんだ」と分かってくる時が来ると思いますので、その原理を知っておくだけでも非常に勉強になるかなと思います」
今回の内容は、星槎大学の「英語基礎リスニング&スピーキング」という科目で扱っているものの一部です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 科目名 | 英語基礎リスニング&スピーキング |
| 形式 | スクーリングのない科目。ただし希望制のワークショップを開催しており、そこで実践的に学べます |
| ワークショップの内容 | 今回の内容に加えて、口をどう動かすのか、さらに踏み込んだ声門閉鎖とは何か、といったところまで扱います |
「聞き解ける」から「自分でも出せる」へ。興味を持たれた方は、ぜひ挑戦してみてください。
当日の反応
授業のあと、司会からは「音の変化を理解することが、英語を聞き取る力だけではなく自然な発音にもつながるんだなと感じました。私も英語を話せるようになりたいと思っていますので、今日教えていただいたことを意識しながら、聞くことと話すこと、両方を頑張っていきたいと思います」という感想がありました。
8. 通信制大学のオンライン授業は、こう受けます
今回の体験授業はZoomを使ったオンライン形式で行いました。スライドを共有しながら解説し、音声を実際に流して聞き比べる——という進め方です。
「通信制の授業」と聞いてイメージしにくかった方も、この記事を読み進めるなかで、なんとなく雰囲気がつかめてきたのではないでしょうか。
星槎大学の授業(スクーリング)には、3つの受け方があります。
| 形式 | 受講方法 |
|---|---|
| Webライブ スクーリング |
Zoomを使い、指定された日にご自宅などからリアルタイムで受講。今回の体験授業と同じ形式です |
| オンデマンド スクーリング |
録画された講義動画を、視聴期間内のお好きなときに視聴して受講 |
| 会場 スクーリング |
決められた日時に会場へ集まり、対面で受講。主に体育実技科目などの一部が対象 |
スクーリングは土日・祝日を中心に開講し、1科目を原則10時〜17時の1日かけて学びます。働きながらでも通える設計です。
そして単位の修得は、①テキスト学修(レポート)→ ②スクーリング → ③科目修得試験の3ステップ。今回ご覧いただいたのは、このうち②にあたる部分です。
9. 英語の教員免許を、通信制で取るという選択
星槎大学で英語を学ぶ場は、グローカル・コミュニケーション専攻です。
「グローカル」は、グローバル + ローカル。世界的な視野で考え、地域や国の視点で行動する——その力を身につけることを目指す専攻です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 専攻 | グローカル・コミュニケーション専攻 |
| 目指せる免許状 | 中学校教諭(英語)/高等学校教諭(英語) |
| 学び方 | 通信制課程。働きながら、ご自宅を拠点に学べます |
学校の先生を目指す方以外にも
今日の内容は、英語の教員免許を目指す方だけのものではありません。
| こんな方に | どう活きるか |
|---|---|
| 塾で英語を教えている | 「なぜ of course は『オフコース』なのか」を理由から説明できるようになります。丸暗記させない指導へ |
| 子ども向け英語教室 | 喉に手を当てて有声音・無声音を確かめるなど、そのまま使えるアクティビティが学べます |
| 英語を使う仕事 | 会議や電話での「聞き取れなかった」を、原理から減らせます |
| 学び直したい | 教員免許を目指さずとも、科目等履修生として興味のある科目だけを学ぶこともできます |
「まずは1科目だけ試してみたい」という方には、科目等履修生という選択肢もあります。
まとめ:原理を知れば、「聞こえた!」は増やせる
最後に、今日学んだことを整理します。
| 種類 | 起こる条件 | 例 |
|---|---|---|
| ① 連結 | 子音 + 母音/母音 + 母音 | look amazing → ルッカメイジング |
| ② 同化 | つながることで新しい音が生まれる | did you → ディヂュー |
| ③ 脱落・弱化 | 子音が連続する(原則、前の音が弱まる) | went to → ウェン(トゥ) |
この3つを知っているだけで、「知っている単語なのに聞き取れない」は確実に減っていきます。
そして今日ご覧いただいたのは、星槎大学で実際に行われている授業の、ほんの一部です。通信制でも、こういう授業を受けられます。
英語の教員免許を目指す方も、英語に関わる仕事をされている方も、まずは一度、学びの入口をのぞいてみませんか。
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※本記事は2026年開催のオープンキャンパス 第2部 体験授業の内容をもとに構成した授業レポートです。講師の発言は、読みやすさのため一部を整理しています。カタカナ表記は音の目安であり、実際の発音とは異なる場合があります。科目・制度・日程等は変更となる場合がありますので、最新情報は募集要項をご確認ください。














