謝辞
本日は、私たち卒業生のために、このような盛大なる式典を挙行していただき、誠にありがとうございます。 卒業生を代表して、お礼の言葉を申し上げます。 また、学長をはじめ教職員の皆様におかれましては、ご多用の中ご臨席くださり、心から感謝申し上げます。 旅立ちの節目となるこの場をお借りして、私自身のことを交えながらお礼を述べさせていただきます。
私が星槎大学に入学したのは、2017年の10月でした。 高校時代に教師として働くことを夢見ていましたが、諸事情があり夢を諦め、高校卒業後は自動車会社に就職し、途中で転職の経験もしました。 それでも夢を捨てきれず、働きながら学修することを決意し、通信制大学を探していました。 そんな中で中高保健体育、特別支援学校の教員免許が取得できる星槎大学を見つけ、事務局の丁寧な対応と、私の夢を全力で応援したいという姿勢に感銘を受けて、ぜひ星槎大学で頑張りたいと、入学の決断をしました。
入学したのはいいものの、初めて取り組んだレポート課題がいきなり再提出から始まって、卒業までの道のりがあまりにも遠く思え困惑し、それでも先生方の丁寧なご指導のおかげで、少しずつレポートの書き方を覚えていき、初めて単位を取得することができた嬉しさは今でも鮮明に覚えています。
私自身は生まれつきの聴覚障がいがあり、通信制大学で学修していくのにたくさんのハンデがあり、大学の先生方、他の学生の方が言っていることが聴き取れなくて理解することもできずに、グループ討論も上手くいかずに悔しい思いをたくさんしてきました。 ある科目を受講した時、「聴す(ゆるす)」の言葉を教わりました。 「相手の心を聴いて、相手の思いを受け入れる」と私なりに解釈して、それを実践していこうと決意し、行動を変えました。 具体的には、聴き取れなかったら遠慮せず何度も聴き直すこと、近くの人に内容を整理してもらおうサポートをお願いすること、文字起こしアプリの活用などによって相手の言葉と、その背景にある思いを理解しようと心がけました。 すると相手が私に対して一生懸命に思いを伝えようとしてくれて、心と心が繋がっていくように思え、最終的に相手に「寄り添う」という信念を持てるようになったのです。
私にとって星槎大学での一番大きな経験は2回の教育実習です。 1回目の中高保健体育の教育実習を行った中学校では、生徒たちが、私が聴覚障がいであることを受け入れてくれ、授業や集会等での発言が聴き取れない時にはフォローしてくれました。 私ともっと話したいという思いで、手話を覚える生徒が現れ、結果的に生徒達の間に手話ブームが起こり、学校の雰囲気がさらに明るくなりました。 私の存在が、生徒たちの相手を思いやる姿勢を引き出し、学校の雰囲気を変える力があることに気付くことが出来ました。 2回目の教育実習をした聴覚特別支援学校では、同じ聴覚障がいの先輩として、生徒たちに見本を見せて欲しいと先生方から要望がありました。 自分の障がいを受け入れ、教師になる夢を叶えようと教育実習に全力で取り組む姿や、明るく前向きに何事も取り組む姿勢を見せて、ロールモデルを示せたことは、生徒たちにとって良い刺激になったと言ってもらえました。 これら2校での経験は、私が教師になる価値について手ごたえを得ることができた大変意義深い経験でした。
実は私はもう一つの顔があり、聴覚障がい者柔道の「デフ柔道選手」として活動しており、地域貢献の一環として柔道教室を定期的に開催しています。 聴こえる子ども、聴覚障がい児、知的障がい児、ダウン症のある子ども、など年齢も個性も多様な子ども達が楽しく運動するこの柔道教室の運営には、星槎大学で学んだことを活かしています。 ここでの子ども達との経験が、星槎大学での学修に繋がってより理解を深めることができました。 柔道教室を楽しんで下さる方々を見て、私は誰かのために貢献できていると実感することができました。
私には教員になることの他に、もう一つ夢があります。 それは来年2025年に日本で開催される聴覚障がい者のオリンピックである「デフリンピック」で金メダルを獲得することです。 競技者として「共生」を実現できるように頑張っていくことを、ここに決意表明させていただきます。
結びにあたり、働きながら、聴覚障がいがありながらも、通信制大学で卒業できたことは、これからの人生において心の糧となり、大きな自信となりました。 この誇りを胸に、本日ご臨席を賜りました皆様方のご多幸と、星槎大学の益々のご発展をお祈り申し上げ、謝辞とさせていただきます。 本当にありがとうございました。
令和6年3月16日
卒業生代表
共生科学部 共生科学科 佐藤正樹















